1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、マネージャーとメンバーが定期的に時間を確保し面談することです。
リモートワークや在宅ワークの働く環境の変化、さらに叱って育てる時代からほめて育てる時代へ、さまざまな時代の変化から導入されるようになりました。
1on1ミーティングの目的は?
メンバーは、業務や組織において改善点を感じているが、なかなかチームの前では発言できなかったり、1人だけで悩んでいたりするケースがあります。
1on1ミーティングは、メンバーの業務状態の確認や、現在抱えてる悩みを寄り添いながらヒアリングし、フォローやフィードバックをします。
それによりメンバーの業務遂行効率を高めることが、1on1ミーティングの目的です。
1on1ミーティングで得られる効果
1on1ミーティングの目的を達成した先に得られるものは、下記3つがあると考えます。
- 生産性の向上
- エンゲージメントの向上
- 評価還元
生産性の向上
メンバーの業務遂行の効率化を高めることで、個人の課題解決から組織の課題解決へ導びき、組織全体の生産性向上につながります。
エンゲージメントの向上
1on1ミーティングは、回数を重ねメンバーの悩みや課題を共有することで、メンバーとマネージャーが相互理解できると、徐々に信頼関係が生まれます。
信頼関係の構築から、チームの活性化つながりエンゲージメントの向上に期待できるでしょう。
評価還元
メンバーとの時間を定期的に設けることで、人となりから仕事への想いなどメンバーをより理解でき、適切に評価できます。
そのため、その後の人事考課につながり、昇給や昇進など日々の頑張りを目に見える形で還元されると、メンバーはさらなる飛躍につながるでしょう。
効果的な1on1ミーティングのポイント
1on1ミーティングのポイントは、話しやすい雰囲気を作りと、メンバー主体で話を進めマネージャーは質問程度にすることです。
話すことが苦手な場合は、クローズドクエスチョン・オープンクエスチョンで質問を使い分けると、スムーズに会話を進めることができます。
また話の腰を折ったり解決策を先に伝えることは避け、なるべくメンバー自身で解決できるように導びきましょう。
フィードバックとは
フィードバックとは、マネージャーから見たメンバーの状況、言動、結果などを伝えることです。
メンバーが気づいていること、気づいていないことを含め客観的な評価を共有します。
1on1ミーティングにおけるフィードバック
マネージャーとメンバーが面談する1on1ミーティングの場でのフィードバックの内容は、業務に限りません。
- 業務上で結果に対してのフィードバックやアドバイス
- チームや組織上の立ち振る舞い
- ほかのメンバーへの対応
など、組織で生活する上でさまざまな事項があげられます。
メンバーの長所をマネージャー目線で伝えると、メンバーは自分でも気づかなかったプラス面を発見でき、さらに自信を持てるでしょう。
フィードバックをする目的は?
フィードバックをする目的は、自分の強みを客観的に理解し、内省することでメンバーの自己成長につなげることです。
それにより、組織の中で高いパフォーマンスを発揮し、メンバーは与えられている仕事や役割以上に自分で考えて行動するでしょう。
フィードバックが必要な背景
フィードバックは、1on1ミーティングに限らず注目されています。
それは、働き方の多様化に伴なったコミュニケーション不足が要因の1つです。
従来に比べ、マネージャーとメンバーのコミュニケーションの機会は減少傾向にあります。
言いたいことを本音で言いづらい職場が多く、指摘事項があってもなかなかできません。
気軽に指摘できない状況が増えている背景から、効果的なフィードバックが必要とされています。
1on1ミーティングにおけるフィードバックとコーチング
フィードバックとコーチングは似ているマネジメント方法のため、フィードバックをしているつもりでコーチングをしている場合が多々あります。
コーチングとの違い
コーチングとは、基本的に質問することと、聴くことがあげられます。
メンバー自身の課題や答えを、自分で見つけてもらう方法です。
それに比べフィードバックは、マネージャーの客観的意見をメンバーへ伝える方法なので少し異なります。
フィードバックの種類
フィードバックは、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2種類があります。
両方ともメンバーにとって必要なものです。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックとは、マネージャーから見たメンバーのよかった点や結果に対しての行動などを褒めて認めることです。
メンバーにとっては、結果やそれまでのプロセスを認めてもらえるので、自己成長と反復行動につながります。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックは、メンバーが改善すべき点やよくなかったところを伝え、反省を促すことです。
メンバーにとっては耳が痛いことかもしれませんが、マネージャーから見て直してほしいところを的確に伝えることにより、自省へつながります。
しかし、メンバーの受け取り方によっては仕事への意欲が損なわれる恐れもあるため、伝え方に注意しなければなりません。
メンバー1人ひとりの性格やタイプに合った対応が必要となるでしょう。
フィードバックをして得られる効果とは
1on1ミーティングにフィードバックを取り入れると、どのような効果が得られるのでしょうか。
ここではメンバー側のメリットと、チーム・組織に与える影響についてご紹介します。
メンバーにとってのメリットは
フィードバックを受けた際、下記のようなメリットがあります。
- 思ってもみなかった長所が発見できる
- 当たり前にできる業務は、実はほかの人に比べてレベルが上である
- チームや組織の中でどのように影響を与えているか知る
など、マネージャーが日頃から感じているメンバーの印象を伝えるだけで、メンバーはいい気づきが得られます。
フィードバックがチーム・組織全体に与える影響
フィードバックを定期的におこなうことで、マネージャーは日々メンバー1人ひとりをより観察し、気にかけるようになります。
このようにマネージャーは、メンバーへの接し方などの内省が促され、組織全体のマネジメント品質の向上にもつながるでしょう。
フィードバックの具体的な方法
続いて、実際におこなうフィードバックのやり方3ステップをご紹介します。
- ステップ1: 目的とゴールの共有
- ステップ2: フィードバックの伝え方
- ステップ3: 次のアクションプラン設定
ステップ1: 目的とゴールの共有
1on1ミーティングでフィードバックを伝える前に、なぜフィードバックをするのかを伝えたうえで、目的と最終的な目標はなにかを共有します。
〈例〉
- 【なぜ】フィードバックはメンバーの成長・気づきにつながるためである
- 【目的】フィードバックを行うことでメンバー自身で新たな発見をして欲しい
- 【目標】新たな発見を業務にどう生かし、成果につなげていくのか
ステップ2: フィードバックの伝え方
次に、フィードバックをメンバーに伝えます。
マネージャーが日々の業務で気づいたよかった点・改善点を具体的に、メンバーに寄り添いながら話します。
ステップ3: 次のアクションプラン設定
現状どのような結果になったのか、具体的にどのように改善すればいいかをメンバーと話し合いながら、次のアクションプランを設定します。
さらに設定した後も、下記の項目を主にメンバーをチェックすることをおすすめします。
- 設定したアクションプランがフィードバックに基づき改善できているか
- フィードバックはメンバーに適切だったか
- モチベーションは保たれているか
フィードバック3つの実践例
フィードバックの内容によって伝え方を使い分けると、お互いの相違なく伝えることができます。
ここでは、すぐに使える実践例を3つご紹介します。
- サンドイッチ型フィードバック
- SBI型フィードバック
- ペンドルトン型フィードバック
サンドイッチ型フィードバック
サンドイッチ型フィードバックは、改善してほしい点などのネガティブフィードバックを伝える際に、ポジティブフィードバックを伝える前と伝えた後に、はさむ形で使用します。
ネガティブなフィードバックは、メンバーのモチベーションを損なうことなく、傷つけないよう慎重に伝える必要があります。
その一方で、メンバーに正確に伝え理解してもらう必要もあるので、サンドイッチ型フィードバックを活用し、メンバーに伝えるタイミング、メンバーの状況などを見極めながらおこないましょう。
SBI型フィードバック
SBI型フィードバックとは、Situation(状況)Behavior(行動)Impact(影響)の略で、表記の順番にフィードバックをおこなう方法です。
SBI型フィードバックの特徴は、客観的な事実に基づきおこなうもので、結果に対してよかった・よくなかっただけを伝えるものではありません。
より広い視野で、結果に対するプロセスについてもフィードバックをおこないましょう。
ペンドルトン型フィードバック
ペンドルトン型フィードバックは、メンバー自身の内省の促進を重要視した方法です。
メンバーに対し、確認→よかった点→改善点→行動計画→振り返りの順でフィードバックをおこないます。
SBI型フィードバックと異なり、こちらは指摘によりメンバー主体で振り返りをしてもらうものです。
マネージャーは、メンバーの振り返りをフォローしながら進めましょう。
フィードバックの際の注意点
フィードバックをおこなう際は、よい点、よくなかった点に関わらず、伝える際は注意する点があります。
ほかのメンバーと比較しないこと
フィードバックは、マネージャーの客観的なアドバイスであり、ほかのメンバーと業務のレベルや、モチベーションにおいて比較することは避けたほうがいいです。
本人が気にしていなかった事項でも、マネージャーに指摘されてネガティブにとらえてしまう可能性があるためです。
人格・能力を否定することは避ける
フィードバックは、叱ることや注意することではありません。
メンバーの行動や結果に対して、マネージャーが客観的視点で伝えることですので、メンバーの性格や人格、能力などを否定することは避けるべきです。
マネージャーは、メンバーの性格や人格、能力を理解したうえで、適切なフィードバックをおこないましょう。
効果的なフィードバックのポイント
続いて、よりメンバーの成長を促す効果的なフィードバックのポイントを5つご紹介します。
ポイント1: 信頼関係が大前提
フィードバックでは、メンバーにとってデリケートなことも伝える場合もあります。
定期的に実施している1on1ミーティングで信頼関係を構築し、メンバーはマネージャーに対して自分のことを理解してくれているという状態が理想です。
なぜなら、せっかくメンバーにとって大切なフィードバックをおこなっても、信頼が構築されてないとメンバー自身に響かない恐れがあるからです。
ポイント2: 前回のフィードバックを振り返る
フィードバックは、相手に伝えて終わりではありません。
伝えた後、メンバー自身がどのように考えて改善して行動したかを、次回の1on1ミーティングで一緒に振り返ることをおすすめします。
メンバーの意識の変化や成長を知る機会となるため、マネージャーにとっても嬉しいものになるでしょう。
ポイント3: マネジメント職同士で意見を交換する
フィードバックは、一言で表せるものではなくマネージャーによって伝え方、考え方は異なるものです。
1人で考えて実行するより、マネージャー職同士や人事と意見を交換することも有効です。
ほかのマネージャーがどのように工夫しているのか、自分の方法はメンバーにとって最善なのかなどが確認でき、模索することで組織全体のマネジメント力も向上します。
ポイント4: 1on1ミーティングシートを活用する
はじめは、フィードバックをしてメンバーが理解してくれるのか、正しいフィードバックができているのか不安なことも多いかもしれません。
日頃のメンバーに対しての気づきを、都度1on1ミーティングシートに記入し、1on1ミーティング当日にシートを確認しながらフィードバックすると、的確に伝えることができるでしょう。
ポイント5: メンバー側の意見も確認する
1on1ミーティングに関して定期的にメンバーに対してアンケートを行い、マネージャーのフィードバックは期待している内容と合致しているか、確認できるような仕組みを社内に作るとよいでしょう。
メンバーの満足度などを確認でき、フィードバックの質を高めることができます。
社内的な仕組みづくりとなると、人事や関連部署との連携が必要となりますので、まずは自分の担当するメンバーに対して、雑談ベースで気軽に聞いてみるのも有効です。
【まとめ】フィードバックは人材育成に必要不可欠
いかがだったでしょうか?
1on1ミーティングのたびに、適切なフィードバックをおこなうことで、メンバーは、自分の強みを客観的に理解し、内省することで自己成長が期待できます。
また、マネージャーのマネジメント力の向上にもつながり、組織にとってかかせないマネジメント方法です。
ぜひこの記事を参考に、適切なフィードバックを与えて、より効果的な1on1ミーティングを目指してください。
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